


北海道洞爺湖サミットの主要なテーマの一つして地球環境問題があり、議長国でもある日本がイニシアティブを発揮することが求められている。既に、昨年のハイリゲンダムサミットでは、日本の提案を受ける形で「2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を半減することを真剣に検討する」ということを合意しており、低炭素社会移行へ具体的道筋を示すことが期待されている。
ところで、国際的な視野で議論をする時、2005年の一人あたり二酸化炭素排出量は日本が9.5トンであるのに対して中国は3.9トンであることを踏まえる必要がある。すなわち、日本が環境先進国と豪語しても、中国の倍以上を排出している国に説得力はない。国際的な削減の枠組みに中国やインドに参加を呼びかけるのであれば、この事実を踏まえた上で提案することが肝要であろう。政府は2050年の削減率を60%〜80%にすることを考えているが、日本の一人あたり排出量の水準からすれば当然であろう。福田総理は1月のダボス会議で、低炭素社会実現に向けて発展途上国への100億ドルの資金提供と5年間で 300億ドルの研究開発投資を約束し、世界的に高く評価されたが、資金提供の役割だけでなく、技術移転を通して温暖化ガスの排出削減に貢献することが求められている。
しかし、国際的合意形成のイニシアティブを日本が発揮できるか危うい状況にある。反対意見に配慮しつつボトムアップ型で話し合いを続けようとする日本のやり方は、数値目標を最初に掲げ、それを実現するための政策を矢継ぎ早に打ち出すEUと真っ向から対立している。目下のところ、日本は排出量取引かセクター別アプローチかという技術論に終始しているが、EUが主導する排出量取引の枠組みに豪州が参加を決め、米国の大統領選挙で戦う民主党と共和党のいずれの候補者も導入を公約している。日本の貢献は、削減目標を掲げても政策が伴わなければ何もできないことを実証したことにあるが、日本のこれまでとってきた政策への反省は聞かれない。現在、原油・石炭価格が急騰しており、省エネ技術に優れた日本企業にとって大きなビジネスチャンスともなっている。ところが、 KY日本はその貴重なチャンスを逃しつつある。例えば、昼間の電力ピークカットに貢献できる太陽電池の設置台数が2004年にドイツに逆転され、生産でも EUや中国に遅れをとりはじめている。「日本よ前に進め」と願わざるを得ない。
2008.06.02