

○(日本の漫画、アニメは今やメインカルチャーに)今、漫画とアニメの境界があいまいになっている。かつては漫画を原作にしてアニメをつくっていたが、逆のパターンが出てきた。漫画の国内市場は飽和状態で、国内市場の維持と、海外への影響力維持が重要。また、漫画だけしか読まない、漫画以外を知らない人が出てきた。かつてのサブカルチャーがメインカルチャーになってしまった。
○(関西の小劇場運動を盛り上げた『プレイガイドジャーナル』)『プレイガイドジャーナル』(通称「プガジャ」、1971~87大阪で刊行。日本初の情報誌と言われ関西のサブカルチャーに大きな影響を与えた)の編集長を2年半務めた。プガジャが70年代に東京の小劇団や演劇人を関西に招いてきて、それが関西の大学生に刺激を与えて大学の枠を超えた動きとなり、関西における学生演劇の結成や小劇場運動の隆盛につながった。
○(ウェブに押されて厳しさを増す出版)出版は電子メディア、ウェブに押されて厳しい状況にある。文学でも漫画でも雑誌が弱くなっているので、ウェブが作品をプールする場になっており、「連載はウェブ、単行本は出版」というケースが多い。絶版になるような本を残すという意味で電子メディアは有効。本になる前段階でウェブに掲載して読者に読ませ、反応を取り入れることもできる。一方で、編集者の質が低下している。優秀な編集者ほど売れない本をつくって冷遇されたり、世渡りのうまい編集者が要領よくヒット作を出す、という現状もある。もちろん、いい人もいるから両極化しているのかもしれない。
○(関西の大学のメディア系学科や自治体のメディア系施設のさらなる活用を)関西にある芸術系大学には漫画・アニメ・映画制作等のメディア系学科があるが、都心から離れた立地が多く、人が集まりにくい。学生だけでなく誰でも行ける研究機関のようにして、先端的なことができるようにすればよい。自治体の漫画アニメ関連の施設にしても、規模の小さい自治体ではできることに限りがあるから、いろいろ巻き込んで活動を広げていく柔軟性がほしい。
○(紙媒体でしかできないことを見極めたい)出版の仕事は厳しいが、紙で読むのとウェブで読むのとでは記憶への残り方が違う。ウェブでは電源を切ったとたん内容を忘れてしまい、具体性が消えて印象だけになる。紙媒体はどんどん電子メディアやウェブに移行しているが、紙媒体でしかできない部分で何が残るかを見極めたい。同人誌やミニコミ誌のように、ある程度の範囲のもので成功事例を作り、そこから似たようなものが派生していけばよい。自分が見た映画や演劇、読んだ漫画を、観客や読者自身が語れる雑誌を作りたい。今、人は自分の見たものにしか興味がない。それなら、その中でいろいろな声を雑誌という形にして、読者自身が立ち止まってその違いを見ることで、また別の方向へ興味が広がっていく、という流れにできないものだろうか。(文責:事務局)
2010.01.06